防犯対策には、目に見える対策と、あえて目立たない形で実行する対策の2つのアプローチがあります。それぞれの手法には独自の効果があり、適切に組み合わせることで犯罪抑止効果を最大化することが可能です。本コラムでは、「見せる防犯」と「隠す防犯」の特徴とそのバランスをどのように取るべきかについて解説します。
1. 見せる防犯の特徴
「見せる防犯」とは、防犯カメラや警備員、セキュリティシステムが明確に目に見える形で配置され、犯罪者に対して「ここには防犯対策が施されている」と知らせることを目的とするアプローチです。犯罪者がその場所に潜む危険を感じ、犯行を思い留まる効果を狙います。
抑止効果:犯罪者にとって「リスクの高い場所」と認識させることで、犯罪の発生を未然に防ぐ効果があります。防犯カメラやセキュリティサインを配置することで、犯罪者に対して視覚的な警告を発します。
目立つことで安心感を与える:施設利用者や従業員に対して、安心感を提供する効果もあります。特に、顧客や従業員が「安全な場所」と感じることは、ビジネスの信頼性向上にもつながります。
2. 隠す防犯の特徴
一方で、「隠す防犯」とは、犯罪者に防犯対策の存在を悟らせないように設計されたアプローチです。例えば、隠しカメラや警備システムを目立たない場所に設置することで、犯罪者が安心して犯行に及んだ際に、不意打ちの形で対処することができます。
犯罪者の油断を誘う:目立たないことで犯罪者に油断させ、より決定的な証拠を集めることができます。特に、内部犯行や計画的な犯罪に対して有効です。
セキュリティの効果を補完する:表向きの防犯システムに加えて、裏で動くセキュリティがあれば、より万全な対策が取れます。犯罪者が見えない防犯対策に気づかないまま行動し、それによって逮捕や対応が迅速に行われることが期待できます。
3. 『見せる防犯』と『隠す防犯』のバランスを取る重要性
それぞれの防犯手法は単独でも効果がありますが、両者をバランス良く組み合わせることで、より強力な犯罪抑止効果を生み出します。
見せる防犯による即時的な抑止力:外部からの侵入者や一見して犯罪を犯すリスクがある者に対しては、見える防犯がまず重要です。犯罪者に対して防犯設備が機能していることを明確に伝え、犯罪行動を思い留まらせます。
隠す防犯による内部犯行や計画犯罪への対応:見える防犯が存在しても、それに慣れた内部犯行者や熟練の犯罪者に対しては隠す防犯が有効です。表向きの防犯システムを突破しようとする犯罪者に対して、最後のラインとして隠された防犯システムが働きます。
4. 効果的なバランスを実現するためのポイント
バランスを取るためには、以下の要素を考慮することが大切です。
リスク評価に基づく配置:まずは施設や店舗のリスクを分析し、どこに見せる防犯を配置し、どこに隠す防犯を設置するかを決定します。たとえば、出入口や窓付近には見える防犯カメラを設置し、金庫や貴重品が保管されている場所には隠しカメラを配置するといった対策が有効です。
コストと効率を考慮した設置:防犯システムの導入にはコストがかかるため、必要な箇所に重点的に設置することが求められます。全てを見せる防犯にするか、全てを隠す防犯にするかではなく、双方をうまく組み合わせることでコストパフォーマンスの良い防犯対策が実現します。
結論
『見せる防犯』と『隠す防犯』は、それぞれ異なる特徴を持ちながらも、互いに補完し合う効果的な防犯手法です。これらを適切に組み合わせることで、犯罪者に対する抑止力を高め、企業や施設の安全性を向上させることが可能です。リスク評価とコストを考慮しながら、バランスの取れた防犯対策を導入することで、最も効果的なセキュリティを実現することができるでしょう。
最後に、SIPでは、病院や学校、店舗事業をはじめとする各施設向けに、防犯対策やカスタマーハラスメント対策を総合的にサポートしています。元警察官や専門家の経験を活かし、現場の状況に即した最適なソリューションを提供します。また、経験則だけではなく、実践理論に基づいた効果的な提案により、お客様の安全に貢献します。私たち独自のフレームワークを用いて、お客様のニーズに合わせた防犯戦略・計画・マニュアルを一緒に構築し、それらを基にした具体的な施策の提案、従業員教育などにより、施設全体の安全を強化するお手伝いをいたします。防犯やカスタマーハラスメント対策に関するご相談は、お気軽にお問い合わせください。大阪府、京都府、兵庫県、奈良県、を中心に、全国で対応しています。