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デジタルフォレンジックにおけるシステムログとデータ解析の手法

デジタルフォレンジックは、サイバー犯罪の解明や不正行為の追跡において、非常に重要な役割を果たしています。その中でも、システムログデータ解析は、ユーザーの行動やシステムの挙動を追跡するための重要な手法です。本記事では、デジタルフォレンジックにおけるシステムログとデータ解析の手法を詳しく解説し、その重要性について考察します。



1. システムログ解析とは?

システムログとは、コンピュータやネットワークデバイス、サーバーが記録する動作履歴やイベント情報のことです。これには、ユーザーのログイン・ログアウト履歴、ファイルのアクセスや変更、エラー発生時の記録、ネットワーク接続の履歴などが含まれます。

システムログの解析は、デジタルフォレンジックにおける重要なステップであり、犯罪行為の追跡や、不正アクセスの特定に役立ちます。特に、次のようなログデータが調査対象になります。

  • イベントログ:オペレーティングシステムやアプリケーションが生成するシステムイベントの記録。これにより、システムに何が起きたかの詳細を追跡できます。

  • アクセスログ:ファイルやデバイスへのアクセス履歴を記録し、不正なアクセスがあったかどうかを調べるために使用されます。

  • ネットワークログ:ネットワーク通信の履歴。特定のIPアドレスからの不審な接続を特定するために利用され、外部からの攻撃や内部での不正通信を見つけるのに役立ちます。


2. データ解析の基本手法

デジタルフォレンジックにおけるデータ解析は、システムから抽出されたデジタルデータを分析し、犯罪や不正行為の証拠を見つけるプロセスです。特に、削除されたデータの復元や隠されたデータの発見を行うことが重要です。以下は、データ解析において代表的な手法です。

2.1 ファイル解析

ファイル解析では、デバイスに保存されているファイルの構造や内容を調べます。特定のファイルがいつ、どのように作成・変更・削除されたかを調査し、削除されたファイルを復元することが主な目的です。特に次のようなファイル解析が行われます。

  • タイムスタンプの解析:ファイルの作成日時、変更日時、アクセス日時を調べ、不正操作のタイミングを特定します。

  • 削除されたファイルの復元:特定のツールを使用して、削除されたデータを可能な限り復元し、犯罪の証拠を見つけることが可能です。

2.2 メタデータ解析

メタデータ解析は、ファイルそのものではなく、ファイルに付随する情報(メタデータ)を解析する手法です。メタデータには、作成者、ファイルサイズ、保存場所、最終編集日時などの情報が含まれ、ファイルの詳細な動向を知るために重要な役割を果たします。

2.3 メモリ解析

メモリ解析は、デバイスのRAMに保存されている一時的なデータを調査する手法です。メモリには、パスワード、ネットワーク接続、実行中のプログラムのデータなどが一時的に保存されているため、特定の操作や不正行為の痕跡を見つけることができます。

2.4 データカービング

データカービングは、ファイルシステムの情報を使わずに、データの断片からファイルを復元する手法です。削除されたファイルの残骸を解析し、特定のファイル形式やヘッダー情報をもとに断片をつなぎ合わせて、ファイル全体を復元することを試みます。


3. ログ解析とデータ解析の連携

システムログ解析データ解析は、互いに補完し合う形で進められます。ログデータが不正行為のタイムラインやユーザーの操作履歴を提供する一方で、データ解析は実際に行われた操作の詳細を明らかにします。

たとえば、システムログから特定の時間帯に疑わしいアクセスがあったことが判明した場合、データ解析でその時間帯に何が操作されたか、どのファイルがアクセスされたかを具体的に調べることができます。両者を連携させることで、不正行為の全体像を浮き彫りにし、正確な証拠を収集することが可能になります。


4. デジタルフォレンジックにおける課題と限界

デジタルフォレンジックのシステムログ解析やデータ解析には、いくつかの課題と限界が存在します。

  • ログの完全性:ログデータ自体が改ざんされることがあり、信頼性が損なわれるリスクがあります。改ざん防止のために、適切なログ管理システムやデジタル署名の導入が重要です。

  • データの暗号化:犯罪者がデータを暗号化している場合、解析は難しくなります。暗号化を解除できるかどうかは、フォレンジック技術とリソースに依存します。

  • データの復元が不可能な場合:削除されたデータが完全に上書きされた場合や、メモリがクリアされた場合、データ復元は不可能です。


5. まとめ:システムログとデータ解析の重要性

デジタルフォレンジックにおけるシステムログとデータ解析は、犯罪や不正行為の証拠を見つけるための強力な手段です。ログデータはユーザーの行動やシステムの変動を示し、データ解析は削除されたデータや隠された情報を発見します。これらを組み合わせることで、より正確で確実な証拠収集が可能になります。

システムログとデータ解析の手法を適切に活用することで、組織は不正行為に対して迅速かつ効果的に対応でき、法的な証拠としても信頼性の高い情報を提供できます。


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