防犯対策を実施する際、効果的な手順を踏んで計画的に進めることが重要です。単に防犯設備を設置するだけではなく、施設の特性やリソースに合わせた体系的な対策が必要です。
防犯対策の基本的な手順としては、まず戦略の策定から始め、次に計画の作成で具体的な対策を検討し、最後に評価と改善で継続的に改善を図ることが求められます。この手順を確立することで、施設全体に安定的かつ持続的な防犯体制を構築できます。各ステップの概要は次の通りです。
防犯対策の手順
以下の手順で進め、必要に応じて後戻りをしながら修正し、完成させていきます。
戦略の策定
目的の設定
計画の作成
守るべきものの一覧化
脅威の一覧化
対策の範囲とスコープの明確化
全体像の把握
組織体制の構築
脆弱性の一覧化
対策の策定
評価、改善
評価方法の作成
改善プロセスの構築
今回のコラムでは、計画の作成における「守るべきものの一覧化」「脅威の一覧化」「対策の範囲とスコープの明確化」について解説します。これらは計画の根幹をなし、具体的な対策を実施するための指針となります。
1. 守るべきものの一覧化
防犯対策において、まずは「守るべきもの」を明確にしておくことが不可欠です。施設によって、守るべき対象は異なるため、それぞれの施設における重要な資産や保護対象を一覧化することで、優先順位が明確になります。
具体例:
従業員・利用者の安全:学校や医療機関、商業施設では、利用者や従業員の安全が最も重要な守るべき対象です。
重要書類やデータ:オフィスビルや企業施設では、機密情報やデジタルデータの保護が必要です。
設備や資産:施設に設置されている高額な設備や財産の保護も、防犯対策における重要な対象です。
これらの守るべきものを一覧化することで、対策の優先順位をつけやすくなり、リソースをどこに集中すべきかの指針となります。
2. 脅威の一覧化
守るべきものが明確になったら、それに対する「脅威」を具体的に洗い出します。脅威には、不審者の侵入や設備への破壊行為、情報漏洩など、施設によって異なるリスクが含まれます。脅威の種類や内容を一覧化することで、対策が必要なリスクが具体化され、準備すべき防犯対策の方向性が明確になります。
脅威の例:
不審者の侵入:施設内への不正な侵入者による被害のリスク。
破壊行為や盗難:重要設備の破壊や、備品の盗難による損失。
情報漏洩:オフィスビルや企業施設において、機密情報の漏洩リスク。
脅威の一覧化を行うことで、どのリスクが最も高いか、どのような対策が必要かを見極めやすくなり、計画の具体化に役立ちます。
3. 対策の範囲とスコープの明確化
守るべきものと脅威が一覧化されたら、それをもとに対策の範囲とスコープを決定します。すべてのエリアや時間帯に同じレベルの対策を講じることは現実的ではないため、リスクの高いエリアや時間帯にリソースを集中することが効率的です。
具体例:
リスクの高いエリアに重点的な対策:例えば、施設のエントランスやバックヤードなど、侵入リスクの高い箇所には監視カメラや警報システムを重点的に設置します。
時間帯による対策の調整:夜間や休日など人の出入りが少なくリスクが高まる時間帯に対策を強化することが効果的です。
施設ごとの特性に応じたスコープの設定:例えば、医療機関では患者のプライバシー保護を、商業施設では来客の安全確保を優先するなど、施設の特性に応じた範囲設定が求められます。
対策の範囲とスコープを明確化することで、リソースを無駄なく配分し、効果的な防犯対策が可能になります。
計画の作成がもたらすメリット
計画の作成段階で、守るべきもの、脅威、対策範囲が明確になることで、防犯対策はより具体的かつ実用的なものとなります。
リソースの最適な配分:守るべきものや脅威に応じて、必要な場所にリソースを集中させることができます。
リスクに応じた対応力の強化:具体的な脅威に基づいた対策を講じることで、施設が直面するリスクに応じた柔軟な対応が可能になります。
計画の効率的な遂行:範囲やスコープが明確化されることで、実行段階での対策がスムーズに進行し、効果を最大化できます。
まとめ
防犯計画の作成における「守るべきものの一覧化」「脅威の一覧化」「対策の範囲とスコープの明確化」は、防犯対策の方向性を定め、リソースを効率的に配分するために不可欠なステップです。これらの要素を整理し、実行段階に移すことで、持続的で実効性のある防犯体制が整います。
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