デジタルフォレンジックは、サイバー犯罪や不正行為の調査を行うための重要な技術です。デジタルデバイスから証拠を収集し、解析する際に使用される技術やツールは非常に多岐にわたります。このページでは、デジタルフォレンジックの技術的用語をもわかりやすく解説し、それぞれがどのような場面で使用されるかを簡単に説明します。

1. イメージング(Imaging)
イメージングとは、パソコンやスマートフォンのデータをすべてコピーする技術です。元のデータに触れることなく、そのままの状態で別の場所に保存するため、後で証拠を調べるときにデータが変わっていないことを保証できます。
2. ハッシュ値(Hash Value)
ハッシュ値とは、データが改ざんされていないことを確認するための「数字の指紋」のようなものです。特定の計算方法でデータからハッシュ値を作り出し、その値が後から変わらないかを確認することで、データが正しく保たれていることを証明できます。
3. データカービング(Data Carving)
データカービングは、コンピュータやスマートフォンから削除されたデータを復元する技術です。削除されたファイルの一部が残っていることがあり、その断片を集めてデータを元に戻すことが可能です。
4. メタデータ(Metadata)
メタデータとは、ファイルに関する情報を指します。例えば、ファイルが作成された日時、最後に編集された日時、ファイルのサイズなどです。メタデータを調べることで、誰がいつそのファイルを使ったのかを知ることができます。
5. ログ解析(Log Analysis)
ログ解析は、コンピュータやネットワークで何が行われたのかを記録したデータ(ログ)を調べる技術です。例えば、どのユーザーがいつコンピュータにアクセスしたかや、どのウェブサイトに接続したかなどを調査し、不正行為を突き止めるのに使われます。
6. ネットワークフォレンジック(Network Forensics)
ネットワークフォレンジックは、インターネットや社内ネットワークを流れるデータを調査する技術です。これにより、どのコンピュータがどのサイトにアクセスしたか、不正なデータの送信があったかなどを確認できます。
7. システムイメージ(System Image)
システムイメージは、コンピュータ全体の状態をそのままコピーしたものです。システム全体をまるごと保存しておくことで、元のコンピュータに触れずにその中のデータを調べることができます。
8. タイムスタンプ(Timestamp)
タイムスタンプとは、ファイルやデータが作成、変更、またはアクセスされた日時のことです。タイムスタンプを見ることで、ファイルがいつ使われたのかを特定することができます。
9. 証拠保全(Evidence Preservation)
証拠保全とは、デジタルデータを収集したときに、そのデータが改ざんされないようにしっかりと保存することです。データの正しさを保つために、ハッシュ値を利用したり、データのコピーを取って、調査に使います。
10. ディープパケットインスペクション(DPI)
ディープパケットインスペクションとは、インターネットなどのネットワーク上を流れるデータを詳しく調べる技術です。ネットワーク上でどんなデータが送られたか、例えば不正なデータのやり取りがあったかを解析するのに使います。
11. 暗号化(Encryption)
暗号化とは、データを守るために、誰でも簡単には読めないように変換する技術です。デジタルフォレンジックでは、暗号化されたデータを解読して、その中に何が含まれているかを調べることも重要な作業です。
12. ファイルシステム(File System)
ファイルシステムとは、コンピュータの中でファイルやデータを管理する仕組みです。フォレンジック調査では、ファイルシステムを調べて、どんなデータが保存されているか、また消されたファイルを復元する際にも使われます。
13. マルウェア解析(Malware Analysis)
マルウェア解析は、ウイルスや不正なプログラム(マルウェア)を調べる技術です。これにより、マルウェアがどのようにコンピュータに影響を与えたのか、どうやって侵入したのかを特定することができます。
14. USB接続履歴(USB Connection History)
USB接続履歴とは、コンピュータに接続されたUSBメモリや外部ハードディスクの記録です。フォレンジック調査では、この履歴を調べることで、誰がいつデバイスを使ってデータを移動させたかを確認します。
15. メモリダンプ(Memory Dump)
メモリダンプは、コンピュータのメモリに一時的に保存されたデータをすべてコピーすることです。メモリは作業中のデータを一時的に保存しているため、不正行為の痕跡が残っていることがあり、その証拠を集めるためにメモリダンプが使われます。
16. サンドボックス解析(Sandbox Analysis)
サンドボックス解析は、疑わしいファイルやプログラムを安全な仮想環境で動かし、その動作を観察する技術です。これにより、マルウェアなどの危険なプログラムがどのような動きをするかを安全に確認できます。
17. ディジタル署名(Digital Signature)
ディジタル署名は、データが正しいものであることを証明するために使われる暗号技術です。デジタル署名を使うことで、データが改ざんされていないか、正しい相手から送られてきたものかを確認することができます。
18. レジストリ解析(Registry Analysis)
レジストリ解析は、Windowsパソコンの設定データを調べることです。レジストリには、どんなプログラムがインストールされたか、どんな設定が変えられたかなどが記録されています。不正行為が行われた痕跡を見つけるために、フォレンジックではレジストリ解析が使われます。
19. フォレンジックイメージ(Forensic Image)
フォレンジックイメージとは、デバイス全体のデータを丸ごとコピーしたものです。オリジナルのデバイスに影響を与えず、証拠を調べるために使われます。このコピーを使って、調査を進めても元のデータはそのままの状態で保たれます。
20. クラウドフォレンジック(Cloud Forensics)
クラウドフォレンジックは、インターネット上のクラウドサービスに保存されたデータを調査する技術です。クラウド上での不正行為やデータ漏洩を調べるために、クラウドのログや保存されたデータを解析します。
まとめ
デジタルフォレンジックでは、たくさんの専門的な技術を使って、データの中から証拠を見つけ出します。このページで紹介した用語は、その調査でよく使われる基本的なものです。これらの技術を理解することで、デジタルフォレンジックの全体像がつかめるようになるでしょう。