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個人の防犯対策:SNSを悪用した闇バイト強盗に備える現実的な防犯

最近、反社会的勢力やそれに準ずる集団が、X(旧Twitter)や特定が難しい匿名性の高いSNSやメッセージングアプリを使って「闇バイト」を募集し、強盗を実行させる事件が急増しています。Xを使って広く募集し、その後暗号化されたメッセージを通じて具体的な指示が与えられるという手口が典型的です。匿名・流動型犯罪グループ(通称トクリュウ)と呼ばれ、これまでは主にオレオレ詐欺などの特殊詐欺が主な犯行でしたが、近年では、強盗・強盗殺人などの凶悪事件も増えてきています。


トクリュウは、情報弱者と呼ばれるような人を対象に、「初犯なら刑期は短い」「絶対にバレない」といった虚偽の情報や、「高齢者からお金を回収することは経済を回すので社会にとって良い」といった無理のある正当化で、言葉巧みに実行犯に仕立て上げ、社会に重大な被害をもたらしています。


こうした危険に備え、個人がどのように自宅防犯を強化し、被害を最小限に食い止めるかを考えることがますます重要になっています。この記事では、現実的で有効な防犯対策を紹介します。





1. Xと匿名メッセージアプリを利用した犯罪の流れ

SNSを活用した犯罪は、まずX(旧Twitter)を通じて「高収入バイト」「簡単な仕事」などといった広告で実行犯を募ります。応募者はその後、匿名性の高い暗号化されたメッセージアプリに誘導され、そこで犯罪計画の詳細な指示を受けます。このようなアプリは暗号化が強固であり、履歴も簡単に消去できるため、指示役は匿名性を保ちながら犯罪を指示します。


このような手口を知っておくことは、犯罪の兆候に気づき、巻き込まれないために重要です。しかし、被害者として遭遇する場合、犯罪を防ぐための具体的な対策も不可欠です。


2. 宅配便や営業を装った偽りの訪問者への対策

最近の強盗事件では、宅配便や営業を装った訪問者が玄関口に現れるケースが増えています。偽の宅配業者や業者を装った不審者が侵入を試みる場合、住人の警戒を解いて自宅に侵入しやすくなるため、こうした手口に対する防御策が必要です。


偽りの理由を使った訪問者対策の具体的な方法


ドアスコープやインターフォンの活用: ドアを開ける前に必ずインターフォンやドアスコープで確認しましょう。心当たりのない訪問の場合、ドアを開けないのが賢明です。

宅配便や業者を確認する: 宅配業者の場合、配達票などを確認することも効果的です。回答が不明瞭な場合は、ドアを開けず、業者のコールセンターに直接電話して確認することが安全です。

チェーンロックの使用: ドアを開ける際には、必ずチェーンロックを掛けた状態で対応しましょう。これにより、相手が押し入るのを防ぐことができます。

事前通知を活用する: 最近の宅配業者は配達の事前通知サービスを提供しています。この通知を確認していない場合、即座に対応せず、不審に思ったら確認することを習慣化しましょう。

置き配を活用する: 宅配便などについても、可能な場合は直接受け取らず、置き配を活用することも検討しましょう。また、置き配を取りに行く際も、周辺に人がいないかなどを確認しましょう。


総じて、不審な訪問者が来た場合は、警察に通報するなどして、慎重に対応することが重要です。


3. 強盗に対する基本的な防犯対策:迅速な避難と逃げ道の確保

強盗犯に対して最も効果的な防御策は、素早く逃げることです。家に留まるよりも、速やかに外に逃げることが重要です。自宅内で安全に逃げられる出口を普段から確認し、緊急時にパニックにならないように備えておきましょう。


逃げ道の確保


玄関や窓の確認: 外に出るための出口や窓の位置を把握し、非常時にすぐに開けられるようにしておくことが重要です。

鍵のメンテナンス: 鍵や窓がスムーズに開閉できるように、普段から確認しておきましょう。

シミュレーション: 侵入者が来た際にどう行動するか、家族全員でシミュレーションしておくことも重要です。


4. 袋小路に逃げ込むリスクとその対策

自宅内で危険を感じたとき、パニックになるとトイレやバスルーム、クローゼットなどの袋小路に逃げ込むことがありますが、これは得策ではありません。多少の時間を稼げたとしても、ドアや出入口は簡単に破壊され、すぐにつかまってしまいます。袋小路では逃げ場がなく、犯人に追い詰められるリスクが高いため、できるだけ開けた場所に向かい、外に脱出することを優先しましょう。


しかし、もしどうしても袋小路に逃げ込まざるを得ない場合には、スマホを常に持っていることが非常に重要です。すぐに警察に通報できるよう、手元にスマホを置いておく習慣をつけるとともに、通報がスムーズにできるよう準備しておきましょう。また、事項のように、最後の手段として袋小路となる場所には防犯用具を備えておくことも重要です。


袋小路の対策


スマホを常に携帯: 自宅内であっても、緊急時に即座に通報できるよう、スマホを常に手元に置いておく。

非常時の通報手順を確認: 110番通報時に伝えるべき情報(住所、状況など)を日頃から把握しておき、迅速な対応ができるようにしておく。

防犯用具を設置: 行き止まりとなる場所に、催涙スプレーや、屋外の警報ランプ件ブザーと連動するスイッチを設置しておく。


5. 防犯用具の備えと使い方

自宅での防犯対策として、防犯ブザーや催涙スプレーなどの用具を備えておくことは有効です。特に、逃げ場がない状況で外部に助けを求める手段として、これらの防犯用具は役立ちます。しかし、相手が複数の場合や、狭い場所での使用には限界があるため、あくまで補助的な役割と捉えることが重要です。


防犯用具の利点


防犯ブザー: 大音量で犯人を威嚇し、近隣や外部に助けを求めることができます。

催涙スプレー: 一時的に犯人の視覚を妨害し、逃げる時間を稼ぐことができますが、狭い空間での使用や風向きに注意が必要です。最近の催涙スプレーは霧状ではなく水鉄砲のような液体状のものが主流のため、比較的自爆のリスクは少ないですが、それでも取り扱いには十分注意が必要です。

警報ランプ:屋外のブザー付き警報ランプのスイッチを設置しておくことも効果的です。袋小路に追い込まれたときに、スマホが無くても外部に助けを求めることが可能です。


これらの防犯用具は、数千円と比較的安価に購入することが可能なため、現実的な対策です。しかし、定期的に点検し、いつでも使える状態に保つこと、実際に使用する際の手順を事前に確認しておくことも大切です。


6. 日常の防犯意識を高める

犯罪は突然起こるため、日常的な防犯意識を持つことが最も有効な防御策です。自宅を安全に保つための小さな習慣が、大きなリスクを減らします。


防犯意識を高めるための具体的な行動


玄関や窓の施錠確認: 日ごろからドアや窓の鍵をしっかりと確認し、施錠を徹底します。基本的なことですが、非常に重要なことです。

出入口の補強: 窓ガラスを破って侵入することを防ぐための防犯ガラスへの変更や防犯フィルムの活用、窓の衝撃と連動する防犯アラームの活用も重要です。

センサーライトの設置: 夜間、外部からの侵入を抑制するために、家の周囲にセンサーライトを設置し、外部からの不審者を威嚇する対策を取ります。

防犯カメラの導入: 外部の見える場所に防犯カメラを設置し、犯罪者に対する心理的な抑止力を働かせます。

警報ランプの導入:防犯カメラと同様、外部の見える場所に、部屋に設置したスイッチと連動するランプを設置することも効果的です。袋小路に追い込まれたときに効果を画期することがある他、犯罪者に対する心理的な抑止力も期待できます。


7. 「おとなしくしておく」が通用しなくなってきている

近年、「闇バイト」を利用する犯罪者は、実行役に対して「目撃者は殺害する」ことを指示していることが多いと言われています。その場合、「おとなしくしていれば命だけは助かる」という期待もできません。基本的には「逃げる」か「反撃する」の二択を迫られますが、複数で武装しているのが基本の強盗に対しては、後者は最後の最後まで絶対に避けるべきです。前述の通り、とにかく外へ逃げることを最優先にしましょう。


8. 強盗に対する正当防衛の要件緩和

最後に、強盗に対する正当防衛の要件が緩和される可能性について紹介します。日本の法律では、急迫不正の侵害に対して自己を守るために反撃する行為は正当防衛とみなされますが、強盗などの重大犯罪では、より強い反撃が許容されるケースがあります。仮に強盗に対して大きなダメージを与えることになるとしても、どの場で必要であればどのようなことでもするべきです。


ただし、あくまで最優先は逃げることです。反撃は現実的には非常に危険で、特に近年の強盗は複数で武器を持っていることが多く、そのような場合、仮にプロレベルの武術の心得があったとしても反撃は困難です。無理な反撃は絶対に考えずに、とにかく避難することが最も安全な対応であることを強く認識することが大事です。


最後に

SNSを利用した反社会的勢力による闇バイト強盗は、私たちの身近に迫る現実的な脅威です。特に、Xでの募集と匿名メッセージアプリでの指示という手口が使われている今、個人の防犯対策を強化することが不可欠です。まずは迅速な避難と逃げ道の確保が最も重要であり、普段からの防犯意識の向上が最大の防御策となります。防犯用具も補助的な手段として活用し、自分や家族の安全を守るために現実的な行動を心がけましょう。

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