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病院における防犯マニュアルの作成方法

医療現場は、患者、スタッフ、訪問者などが常に出入りするため、非常に高い安全基準が求められます。単なる物理的防犯だけではなく、組織全体で連携し、コミュニケーション面、法律面、安全確保面などの各フェーズにおいて、体系的なアプローチを取ることが重要です。病院は予期しない事態に迅速に対応できる体制を整える必要があり、そのための包括的な防犯マニュアルが不可欠です。本記事では、病院に特化した防犯マニュアル作成の手法について解説します。



2. 防犯戦略・計画の中にマニュアルが存在すること

防犯マニュアルは、病院の防犯戦略・計画に基づいて作成されるべきです。この戦略は病院全体の安全を守るために重要な要素であり、現場で活用される実践的な内容が求められます。防犯マニュアルは施設ごとにカスタマイズされ、具体的な環境やリスクに対応したものを作成する必要があります。このように、マニュアルが単なる指示書にとどまらず、病院全体の防犯方針を実践に落とし込む重要なツールとなることが重要です。


3. 組織体制の全体像(外部含む)

病院の防犯体制には、内部の組織だけでなく、外部の専門機関との連携が不可欠です。たとえば、セキュリティ会社や警察、さらには法律事務所といった外部機関との協力体制を確立することで、緊急時に即座に対応できる仕組みが整います。具体例として、緊急時に外部機関へ迅速に通報し、問題を速やかに解決するための連絡体制を構築することが重要です。


4. 戦略・計画・方針・施設の環境に則った対応フローの作成

現場の対応フローの作成

医療現場では、即時対応が求められる場面が多いため、具体的なシナリオに依存せず、シンプルで包括的で情報量が少なく、柔軟に対応できるフローが重要です。待合室や病室での異常事態や立ち入り禁止エリアへの不正侵入など、多様な事態に対応できる基本的な対応フローを作成し、どのような状況でも現場スタッフが適切に行動できるようにします。コミュニケーション、法的対応、安全確保に関する基本的な判断基準を設け、フローが状況に応じて柔軟に適用できるようにすることが大切です。さらに、ケーススタディを通じて具体的なシナリオに対する訓練を補完することも重要です。

管理職や会社としての対応フローの作成

現場での対応に加え、管理職や病院全体での対応フローも重要です。事件発生後の復旧、メンタルヘルスケア、関係各所への公表報告、患者や家族からのクレーム対応やトラブルに対して、適切な防犯対応を並行して行う体制を整え、現場の混乱を最小限に抑えることが必要です。道義的な謝罪や、法的対応へのエスカレーション、外部機関への相談など、状況に応じた対応を含むフローを策定します。現場レベルのフロー程即時対応性は求められないことが多いですが、できるだけ早い判断の指針となるような内容が望ましいです。


5. 現場フローと会社フローのリンクと連携

現場スタッフの即時対応と、管理職の意思決定がスムーズに連携する体制が重要です。現場の判断に基づく報告が、病院全体の対策に迅速に反映されるような報告体制を整えることで、トラブルの拡大を防ぐことができます。報告の流れを明確化し、管理職が迅速に対応できる体制を作ることが求められます。


6. 外部へのフローのリンクと連携

緊急時には、外部機関との連携が極めて重要です。たとえば、セキュリティ事業者や警察と連携し、施設内で異常が発生した際に迅速に外部の支援を受ける体制を確立しておく必要があります。また、外部機関への通報基準をあらかじめ設定し、事案ごとの対応方法を明確にしておくことが、現場の混乱を防ぐポイントです。また、事件後の報告や復旧、再発防止などについては、施設とセキュリティ事業者、法律事務所などが連携して対応できるように事前にフローを想定しておくと良いでしょう。


7. 実践訓練、ケーススタディ訓練

包括的なフローを実際の現場で活用できるよう、定期的な訓練が重要です。特に、病院内で想定される様々なシナリオに対応するためのケーススタディを用いた訓練を実施することで、スタッフの柔軟な対応力を養います。具体例として、外来診療中のトラブルや、入院病棟での緊急事態に対応する訓練が考えられます。


8. 定期的な見直し、改善

防犯マニュアルは、一度作成して終わりではなく、定期的に見直しと改善を行う必要があります。新しい技術の導入や、施設の構造の変更に伴い、マニュアルを最新の状態に保ちます。例として、新たな防犯カメラやスマートロックなどの技術導入に応じたマニュアルの更新が求められます。


9. カスタマーハラスメント対策との連携

防犯対策とカスタマーハラスメント対策は、医療現場において非常に密接に関連しています。本来であれば、これらは一緒に考えるのが理想的です。しかし、抽象的になりすぎる懸念がある場合は、病院のニーズに応じて、防犯とカスタマーハラスメントのどちらかに焦点を当てる選択肢を提案することも一つの方法です。別途、カスタマーハラスメントに焦点を当てたマニュアルを作成することで、総合的な対策を実現できます。


10. まとめ

病院向けの防犯マニュアル作成は、施設全体の安全確保のための基盤となります。外部機関との連携、ケーススタディ訓練を通じて、即時対応が可能な体制を整えることが求められます。また、カスタマーハラスメント対策との統合を視野に入れた包括的なアプローチも重要であり、医療現場のニーズに応じて柔軟に対応していくことが鍵となります。



SIPのサポート体制について

SIPでは、医療機関、学校、店舗などの各施設に合わせた防犯対策やカスタマーハラスメント対策の総合的サポートを提供しています。元警察官や防犯の専門家が現場経験を活かし、各施設のニーズに即した最適なソリューションを提供しています。


SIP独自のフレームワークを用い、お客様のニーズに合わせた防犯戦略、計画、マニュアルを構築し、具体的な施策の提案や従業員教育を通じて施設全体の安全強化をお手伝いします。防犯やカスタマーハラスメント対策に関するご相談は、お気軽にお問い合わせください。







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