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社内ルールがデジタルフォレンジック調査に与える影響

デジタルフォレンジック調査を効果的に実施するためには、適切な社内ルールの整備が不可欠です。不正調査や情報漏洩対策において、調査のスムーズな進行と確実な証拠収集を実現するには、事前に社内ルールが整備されていることが重要です。本記事では、デジタルフォレンジック調査における社内ルールの重要性と、どのような影響を与えるかについて解説します。



社内ルールが果たす役割

デジタルフォレンジック調査において、社内ルールは調査を円滑に進めるための土台となります。特に、調査対象者のデバイス提供義務やデータ隠滅防止の規定がない場合、調査自体が困難になる可能性があります。以下のような状況では、明確な社内ルールが重要な役割を果たします。


  • デバイス提供の協力: 調査対象者が社内ルールに基づき、個人所有のデバイスを含めて調査に協力する義務を明確にする。

  • 証拠隠滅の防止: 証拠隠滅行為を防ぐため、社用デバイスや個人デバイスにおける不正な操作を禁止し、罰則を設ける。


ケーススタディ:ルール整備が不十分だった企業の失敗例

ある企業で、従業員が社内の機密情報を外部に漏洩した疑いが生じました。しかし、この企業にはデバイス提出の義務や情報漏洩防止の明確な規定がなく、調査対象者が個人所有のデバイスを提出することを拒否したため、調査が難航しました。最終的に、法的にデバイスの回収ができず、内部調査は不完全なまま終了しました。


このような事態は、適切な社内ルールが整備されていれば避けられた可能性があります。特に雇用契約や就業規則に情報漏洩や不正行為に対するデバイス提供義務を明示しておくことで、従業員から協力を得る基盤を構築することが可能です。


事前に整備すべき社内ルールの具体例

デジタルフォレンジック調査を前提とした社内ルールは、調査が迅速かつ確実に進行するために必須です。以下は、社内ルールとして整備すべき項目の具体例です。


  1. 情報漏洩・不正行為に対するデバイス提出義務 調査対象者が社用デバイスや個人所有デバイスを含め、調査に協力する義務を明確に規定します。特に、個人所有のデバイスに関しては任意の協力が原則であるため、契約上で強制的な提出を要求する項目を設けることが有効です。

  2. データ消去や証拠隠滅行為の禁止 従業員がデータ消去ソフトを使用したり、証拠となり得るデータを操作したりすることを禁止する条項を追加します。万が一不正な操作が行われた場合、その行為自体が違反行為として処罰されることを明示しておきます。

  3. 調査対象者の権利と義務を明確化 調査における従業員の協力義務や、調査結果に基づく処分が適切に行われることを保証する条項を盛り込み、従業員の権利が侵害されないことも併記することで、調査が公平に行われることを強調します。


ケーススタディ:成功事例

ある製造業の大手企業では、デバイス提出の義務やデータ操作の禁止を就業規則に盛り込んでいました。ある日、内部不正の疑いが浮上した際、従業員が社内ルールに従って迅速に社用PCと個人所有のスマートフォンを提出しました。このルールがあったおかげで、デジタルフォレンジック調査がスムーズに行われ、不正の証拠が確保されました。結果として、法的措置に基づき適切な処分が実施され、企業の信用を守ることができました。


社内ルール整備と法的サポートの重要性

社内ルールの整備は、デジタルフォレンジック調査を効果的に進めるための第一歩です。しかし、ルール整備だけでは不十分な場合もあります。特に調査が法的な問題に発展する場合、弁護士や社労士をはじめとする士業との連携が不可欠です。調査対象者との交渉や法的措置において、事前にルールを整備し、法的な根拠に基づいた対応を取ることで、企業はトラブルを未然に防ぐことが可能です。


まとめ

デジタルフォレンジック調査において、社内ルールの整備は調査の成功を左右する重要な要素です。事前に情報漏洩や不正行為に対するデバイス提出義務や証拠隠滅防止の規定を設けることで、調査の円滑な進行を確保し、法的リスクを軽減することができます。また、法的専門家と連携し、適切な対応を進めることも不可欠です。デジタルフォレンジック調査に関するご相談や社内ルール整備のサポートが必要な場合は、SIPにお気軽にご連絡ください。


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