情報漏洩は企業にとって深刻な脅威であり、その原因は外部のサイバー攻撃だけでなく、内部の従業員による不正なデータ持ち出しにもあります。このような内部不正に対処するため、USB接続履歴やネットワーク接続履歴の解析は非常に有効な手段です。本記事では、これらの履歴解析を用いた情報漏洩対策の手法と、実際にUSB接続履歴の解析により不正行為が明らかになったケーススタディを紹介します。

1. USB接続履歴の解析とは?
USB接続履歴の解析は、PCやサーバーに接続された外部ストレージデバイス(USBメモリ、外付けハードディスク、携帯デバイスなど)の履歴を調査する手法です。この解析により、特定のデバイスがいつ、どのコンピュータに接続され、どのような操作が行われたかを特定できます。
USBデバイスは、情報漏洩の主要な手段の一つであり、従業員が機密情報を無断でコピーして持ち出すことができます。しかし、USB接続履歴を詳細に解析することで、不審な行動や不正なデータ持ち出しの証拠を掴むことが可能です。
2. ネットワーク接続履歴の解析とは?
ネットワーク接続履歴の解析では、社内ネットワークや外部のインターネットに対してどのような接続が行われたかを調査します。これにより、外部サーバーやクラウドストレージに不正にデータがアップロードされたり、社外のIPアドレスとの不審な通信が行われたかどうかを特定できます。
ネットワーク接続履歴の解析は、サイバー攻撃や情報漏洩の調査においても非常に重要です。特に、従業員がインターネットを通じて機密データを外部に送信する行為は、見過ごされがちですが、詳細な接続履歴を追跡することで不正行為の証拠を見つけることができます。
3. 情報漏洩対策における履歴解析の重要性
USB接続履歴やネットワーク接続履歴の解析は、デジタルフォレンジックにおいて非常に重要な役割を果たします。以下のような点で情報漏洩対策としての効果を発揮します。
証拠収集:従業員が情報を持ち出す際、どのUSBデバイスがいつ接続され、どのような操作が行われたかを証拠として記録できます。また、どのIPアドレスにアクセスし、どのファイルが外部サーバーに送信されたかも確認可能です。
内部不正の防止:従業員がUSBデバイスを使用する際の行動を監視し、無断で機密情報が外部デバイスにコピーされるリスクを減らすことができます。
リアルタイムの監視と対応:USBデバイスやネットワーク接続のリアルタイムモニタリングにより、不審な行動をすぐに検知し、対応を行うことが可能です。
4. ケーススタディ:USB接続履歴の解析による情報漏洩の発覚
背景
ある企業で、機密情報が外部に漏洩した可能性があるとの通報があり、内部調査が開始されました。当初は外部からのサイバー攻撃を疑いましたが、外部からの侵入痕跡が見当たらなかったため、内部不正の可能性が浮上しました。
調査方法
調査チームは、従業員のPCに対してUSB接続履歴の解析を行いました。解析では、特定の従業員が通常業務時間外に個人所有のUSBメモリをPCに接続していることが判明しました。このUSBメモリの接続履歴には、複数のデータ転送操作が記録されており、通常業務では扱わない種類の機密ファイルがコピーされた形跡が見つかりました。
加えて、ネットワーク接続履歴も調査され、該当のPCから外部のクラウドストレージに対して不審な接続が確認されました。これにより、外部デバイスへのデータの持ち出しと、クラウドストレージを使った情報の外部送信が明らかになりました。
結果
USB接続履歴とネットワーク接続履歴の解析により、機密情報の漏洩が内部犯行であることが確定されました。従業員は不正行為を認め、企業は速やかに被害の範囲を確認し、法的手続きに移行しました。今回の調査では、物理的な証拠(USB接続履歴)とサイバー的な証拠(ネットワーク接続履歴)を組み合わせることで、確実な証拠を収集することができました。
5. 履歴解析による防止策と今後の対策
USB接続履歴やネットワーク接続履歴の解析によって情報漏洩を特定し、犯行を明らかにすることができる一方で、今後の対策も重要です。以下は、効果的な情報漏洩防止策です。
デバイス使用の制限:従業員が個人所有のUSBメモリや外部デバイスを業務用PCに接続できないようにするポリシーの設定。
リアルタイム監視システムの導入:USB接続やネットワーク接続の動作をリアルタイムで監視し、不審な動作を即座に警告・対応できる仕組みの導入。
アクセス制御とロギング:機密データへのアクセスを厳密に管理し、アクセス履歴を継続的に記録することで、不正アクセスを早期に検知。
従業員教育:情報漏洩のリスクとペナルティについて従業員に教育し、内部不正の抑止力を高める。
社内ルールの整備:個人所有デバイスの使用に関する社内規則は雇用契約書などの法的なルールを明確化し、調査への協力を義務づけます。
まとめ
USB接続履歴やネットワーク接続履歴の解析は、情報漏洩や不正行為の特定に不可欠なデジタルフォレンジックの手法です。従業員による機密情報の持ち出しや外部送信は、組織にとって深刻なリスクですが、これらの履歴解析を用いることで、不正行為の痕跡を確実に捉え、対処することが可能です。
特に、物理的なUSBデバイスの使用とネットワークを介したデータ送信の両面から監視を行い、従業員の行動を追跡することで、早期にリスクを発見し、被害を最小限に抑えることができます。
情報漏洩対策においては、履歴解析の導入とともに、企業のセキュリティポリシーの強化が不可欠です。もし、USB接続履歴やネットワーク接続履歴の解析に関する相談や、具体的な対策を検討されている場合は、SIPにご連絡ください。四大法律事務所案件、BIG4監査法人案件、大手メーカー国際産業スパイ案件などで調査リーダーを務めた専門家が、最新のフォレンジック技術とノウハウを駆使して、最適なセキュリティソリューションを提供いたします。